少年野球「うちの子、体が小さくて大丈夫?」低学年の親が抱える不安と「成長期」の真実
1. 目の前の体格差に、親として焦ってしまう気持ち
「うちの子、隣の子よりひと回り小さいな…」
「4月生まれの子との差が、もうこんなに出てるの?」
少年野球のグラウンドで、お子さんが他の子と並んでいるのを見て、思わず**「うちの子だけ、このまま置いていかれてしまうのでは?」**と不安になったことはありませんか?
これは、親として当然の感情です。特に小学生の低学年は、体つきも運動能力もバラバラ。グングン打球を飛ばす子、速いボールを投げる子を見ると、**「どうしてうちの子は…」**と、つい他人と比べて焦ってしまいますよね。
でも、この**「体格差による力の差」**は、低学年〜中学年ではほとんどの場合、一時的なものです。
小学6年生でも、大人と同じような体格になることもいます。
- 身長170cm、体重70kgの小学6年生
- → 私が甲子園に出た時の高校3年生とほぼ同じ体格
つまり、少年野球のグラウンドには、**「高校生の体」でプレーしている子と、「本来の小学生の体」**で頑張っている子が混ざっている状態なのです。
体が小さいお子さんが、体が出来上がっている子と同じ結果を出せなくて当たり前。「体が大きい=上手い」ではないということを、まず親御さんが理解することが、不安解消の第一歩です。
2. 小さな体にこそ必要な「今」の土台づくり
体がまだ小さい低学年の時期は、**「体が成長しきった後に勝つための土台づくり」**に集中する最高のチャンスです。
大きな子に比べて、力で押せない分、繊細な技術や効率の良い動きを習得する必要があります。
【体が小さい子の親が「今」意識したいこと】
- 無理に遠くへ投げさせない(怪我予防):
- 体が出来上がっていないうちに、無理に投球距離を伸ばそうとすると、肩や肘に大きな負担がかかります。フォームの基礎を意識させましょう。
- 「できること」に目を向ける:
- 打球の飛距離ではなく、**「バットの芯に当てる確率」**を褒める。
- 速い球ではなく、**「コントロール良く捕れた」**ことを褒める。
- 走塁や守備など、体格差が影響しにくい要素で、いかにチームに貢献できるかを伝えましょう。
- 体の成長の「タイミング」は必ず来る:
- 多くの選手は、中学、高校のどこかで必ず体が大きく成長します。小さいうちに諦めず、**「野球を好きでいること」「続けていること」**こそが、将来の最大の財産になります。
**勝負は、お子さんの体が完全に大人に近づいてから。**それまでは、他の子との体格差に焦らず、「悔しい」という気持ちをエネルギーに変えて、地道な努力を続けられるよう、親としてそっと背中を押してあげてください。
3. 体が大きい子の親が、今こそ警戒すべきこと
反対に、低学年ですでに体が大きいお子さんの保護者の方も、別の不安と向き合う必要があります。
「うちの子、低学年なのにすごく活躍できている!」と誇らしい反面、**「これは、体格のおかげなのでは?」**という冷静な視点も持ちたいところです。
体の大きな子は、**「楽に結果が出ている」**ために、技術的な努力を怠ってしまうリスクがあります。
【体が大きい子の親が「今」意識したいこと】
- 「慢心」させないための声かけ:
- 「すごいね!」だけでなく、「どうして今の打球が飛んだの?」「しっかりバットの芯で捉えられたからだね」のように、技術的な要因を明確に褒めてあげましょう。
- 比較対象を「上」に設定する:
- 同じ学年の子と比べるのではなく、「今の体格なら、中学年のお兄さんたちと比べてどうかな?」というように、より高いレベルと比較する意識を持たせてください。
- 「伸びしろ」の限界を知る:
- 体格が先に来ているということは、**「体が小さい子に追い抜かれる時期」**が必ず来ます。体格の成長が落ち着いた時に、技術で抜き返されないよう、今のうちに基礎を固めさせることが重要です。
まとめ:親の不安は「成長期」への理解で解消できる
小学生の野球では、体格差=実力差ではありません。
体が小さい子は**「気にしない」。
体が大きい子は「慢心しない」**。
この二つのシンプルな考え方を親子で共有し、目の前の結果ではなく、将来の成長に目を向けてあげましょう。親御さんの冷静な理解と前向きな声かけが、お子さんを大きく羽ばたかせる力になります。
